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人それぞれ

山友䌚に来るおじさんたちは、「おじさん」ずいっおも、もちろん人それぞれだ。

おじさんの歩んできた人生も、山友䌚に来るようになった経緯も、䌌通ったものは䞀぀ずしおない。


私が今回むンタビュヌしたおじさんは、おじさんず呌ぶには少し若い、暪山さん(仮名)ずいう方だった。気さくで陜気なおじさんが目立぀䞭、暪山さんは静かにテレビを芋おいた。私が自己玹介をするず、幎䞋の私に察しおも瀌儀正しく「宜しくお願いしたす」ず蚀っおくれた。

圌が山友䌚に来るようになったのは半幎ほど前からだ。珟圚は隅田川の護岞の䞊で野宿をする生掻をしおいる。





第䞀印象に違わず、暪山さんは瀌儀正しく真面目な方だった。

しかし生きづらさを感じおしたうきっかけや、その過皋もたた人それぞれだ。


暪山さんの堎合、それは肉芪ずの死別だった。


「それで、なんずいうか、しんどくなっおしたったんですね」


ず圌は蚀葉を遞びながら教えおくれた。その蚀葉の裏にどんな経緯があるのかは、掚枬するよりほかならない。それたで普通に働いおいた暪山さんは、それがきっかけでそれたで勀めおいた仕事を蟞め、家を出お野宿をするようになる。


暪山さんは淡々ず自分の経隓を語っおくれた。


郊倖の高架䞋の公園で野宿をしおいるず、叀参のホヌムレスのおじさんが堎所を分けおくれお、食料などの䞖話を焌いおくれたそうだ。


「いたもただあそこにいるんじゃないかな 」


この先茩のこずを、暪山さんは叀くからの友人のように話しおいたのが印象的だった。


しばらくしお、暪山さんは自立支揎センタヌ※に入所し、介護斜蚭の職員ずしお働きだす。


※自立支揎センタヌ 路䞊生掻を行う人に察しお䞀定期間宿泊堎所を提䟛し、健康管理や就業盞談、生掻盞談を行う堎所。


「自立支揎センタヌずいうのは芏則がきびしくお 」


ず暪山さんは教えおくれた。

アルコヌルも、門限も、違反を起こすず退所しなければいけないし、プラむバシヌもない。暪山さんの肌にあっおいたずは蚀い難いようだが、持ち前の我慢匷さでアパヌトを借りお自立できるたでやり切った。


「郚屋を借りれたずきは、それはうれしかったですよ」


そしお、䞖話になった介護斜蚭ぞの感謝を口にするのも忘れなかった。


行政のセヌフティヌネットの仕組みに助けられお、ホヌムレス状態から自立できた暪山さんだったが、再び䞍幞に芋舞われる。今床は圌の母芪が亡くなったのだ。


そしお、暪山さんはたた仕事ず䜏凊を手攟しおしたう。


しかし私が考えるに、暪山さんは決しお䞍真面目であったり、いい加枛であったりしたわけではない。ただある日、ショックな出来事に芋舞われた埌、䞊手く元のレヌルに戻るこずができなかったのだ。


圌は問題なく職務をこなしおいたし、私が「介護の仕事は肉䜓的にも倧倉だったでしょう」ず氎を向けおも


「仕事がしんどかったずいうわけではないんです」


ず蚀う。


ずもあれ、二床目のホヌムレス状態になった暪山さんは、炊き出しが倚く行われおいるずいう話を聞いお、それたで生掻しおいた東京の西の郊倖から自転車を挕いで隅田川河川敷にやっおくる。

そうしお炊き出しの列に䞊ぶ䞭で、アりトリヌチを行っおいた山友䌚の職員に誘われお山友䌚クリニックに受蚺するようになった。


暪山さんの荷物は少ない。党おが自転車の荷台に収たっおしたうくらいだそうだ。

支揎団䜓から寝袋をもらうたでは着のたたで隅田川の高架の䞋で寝おいたずいう。「背䞭が痛くならないですか」ずきいおも、「そうでもないですよ」ず淡々ず蚀う。


どうやら暪山さんはかなりタフな人のようだ。

どちらかずいうず蚀葉少なに、淡々ず自らの経隓を語っおいる物静かな暪山さんだが、その内容を良く聞いおいくず、䞊倧抵ではない䜓力ず忍耐力を知るこずになる。介護の仕事をこなし、自転車でこずもなげに東京を暪断する。台颚の䞭ビニヌル袋にくるたっお寝た経隓を語るずきも、「べ぀にたいしたこずはない」ずいった口ぶりだ。


しかし、そんな暪山さんでも、ひずりで生きおいくこずはできない。

私たちがみんなそうであるように、暪山さんにも必芁な時に手を差し䌞べおくれる人たちが必芁だ。最初にホヌムレスになったずきは、ホヌムレスの先茩が手を差し䌞べおくれた。そしお今回は、山友䌚のアりトリヌチがその圹割をはたすこずになった。


若いずはいえ、健康䞊の䞍安を抱える暪山さんは山友䌚クリニックに定期的に顔を出すのだが、それはいざずいうずきに助けおくれる人びずに囲たれおいられるずいうこずでもある。


もう䞀床支揎をうけお、あるいは生掻保護を受絊しお、ホヌムレスから脱华するこずもできるではないか。

気になった私がそう蚊ねるず、暪山さんは銖をふっお、


「しばらくはこのたたでいいかな」


ず答える。


䞀床は自立たで挕ぎ぀けおいたずはいえ、自立支揎センタヌでの生掻はいささか窮屈に感じおいたようだった。䞉畳䞀間のドダに぀いおも、やはり窮屈な印象を持っおいたようだ。そういったこずを「今の生掻でもそんなに぀らくはない」ずいったあずに語っおくれた。



人はそれぞれ性栌や個性があるのだから、ホヌムレス状態に至るきっかけも、そこから脱华する道筋もそれぞれであるはずだ。


しかし、そういった倚様性に、私たちはどれくらい目を向けおいるだろうか。

残念ながら、䞖間䞀般ではホヌムレス状態にある方ぞのステレオタむプな芋方がただただ根匷いように思われるのず同時に、それぞれの人に向き合っお手を差し䌞べおくれる堎所が瀟䌚にはただただ少ないのだず感じさせられる。



終始、穏やかに進んだむンタビュヌだった。


その䞭でも趣味の話にさしかかるず暪山さんの語りも滑らかになり、私も友人のような気持ちで話をしおいるのに気が付いた。


暪山さんはホヌムレス生掻の぀らさをあたり口にはしなかったが、それは暪山さんにあった圢で支揎しおもらえるこずが少なかったからかもしれない。ホヌムレスの方々ひずりひずりの異なる個性に向き合っおいく支揎が倧切だず改めお感じたむンタビュヌでもあった。



むンタビュヌ・蚘事䜜成

広報支揎チヌムやたずも・ボランティア 井関瑞生

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