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2020年 夏の募金 へのご協力のお願い
「ホームレス」とは、誰なのか?
どんなときも、生命を守る砦がありつづけるために。
そして、つながりと居場所がありつづけるために。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響がさまざまな形で広がる中、医療や介護、福祉の領域で私たちの生命と暮らしを支えてくださっている皆さま、公共交通機関、物流業、小売業など社会を維持していくための営みを最前線で守ってくださっている皆さまに感謝申し上げます。
そして、感染による被害に遭われた方、そのご家族・ご友人、社会・経済状況の大きな変化により生活に多大な影響を受けられている方々に、心よりお見舞い申し上げます。
山友会は、ホームレス状態をはじめとする生活困窮の背景にある社会的孤立とその中で深まってしまう孤独に問題意識を持ち、
「路上生活を送らざるをえない人々や、苦しい生活を送らざるを得ない人々が、ひとりではないと感じて笑顔を取りもどすこと」
をミッションに、ホームレス状態といういわば最も社会的に孤立した人々に、彼らのニーズに応じた無料診療や生活相談などの様々な支援をとおして、つながりとコミュニティをつくっていく取り組みを行ってきました。
1.新型コロナウイルス感染の拡大。そして、緊急事態宣言の発令。
新型コロナウイルス感染の拡大。そして、緊急事態宣言の発令。
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、政府は4月7日に緊急事態宣言を発令。
宣言を受けて山友会では、活動の対象者の方たち、ボランティア、スタッフの感染防止を第一に考え、無料診療所「山友会クリニック」、生活相談、炊き出し・アウトリーチ、ケア付き宿泊施設「山友荘」以外の活動は中止しました。
※【重要なお知らせ】新型コロナウィルス(COVID-19)感染拡大による緊急事態宣言の発令を受けた各活動と事務局の体制について(4月8日付)
無料診療や生活相談、炊き出しの活動は、路上生活を送る方をはじめ生活困窮状態にある方たちの生命を守るための緊急支援です。ともに食卓を囲むことでつながりを築くきっかけとなる食堂、コミュニティや社会参加の機会をつくるための居場所・生きがいづくり、アートプロジェクトなど、社会的に孤立した人々と築いたつながりを深め、豊かにする取り組みを一時でもあきらめなければならないことは、私たちにとって本当に苦渋の判断でした。
継続している生命を守るための活動に関しても、感染リスクをゼロにできるわけではありません。もちろん、活動に従事する医師などのボランティアやスタッフも感染するおそれはあります。多くの不安と悩みを抱えながら、活動を続けてきました。
2.新型コロナウイルス感染拡大による影響
新型コロナウイルス感染拡大による影響
経済状況の悪化などにより新たに生活困窮に至る人々
新型コロナウイルス感染拡大の影響は、不安定な雇用状況にあった方たちを、より困難な状況に追い込みました。派遣や住み込みで働いていた方が、仕事も住まいも失ってしまった。ネットカフェが閉鎖となり、寝泊まりする場所を失ってしまった。次の給料の振り込みまで所持金がない。こうした相談が私たちのところにも少しずつ寄せられるようになってきました。炊き出しやアウトリーチの活動場面においても、新たに路上生活に陥ってしまった方が目立つようになってきました。
今後、「コロナショック」とも呼ばれる2009年のリーマンショック時の経済不況を超える規模の経済的危機が訪れることが予想される中、新たに生活に困窮された方々に対応していく必要が高まっています。
希薄になった“つながり”と失われた“居場所”
活動縮小後、山谷地域の簡易宿泊所(ドヤ)に暮らすご高齢の方が、意識が混濁した状態にあるところを発見し、救急搬送したことがありました。長年関わりのあるこの方は、活動縮小前には毎日のように山友会を訪れていた方でした。
感染防止のため活動を縮小する前は、路上生活を送る方だけではなく、路上生活からドヤやアパートでの暮らしに移った方たちが、食堂で昼食を食べに来るなどで毎日のように山友会を訪れてくれていたので、体調の変化や悩みごとや困りごとがあることに気が付きやすくなっていました。食堂の活動や居場所・生きがいづくり、アートプロジェクトなどつながりを深め、役割を持ち、気軽に集える居場所となる場が失われたことで、ドヤで暮らす方たちの異変に気付くことが難しくなり、孤独死などのリスクが高まっています。
社会不安が高まり、不安を抱えきれなくなる苦しみ
このほかにも、電話相談の場面では、先の見えない不安や、誰かに受け止めてもらえなかった不満や怒り、「死にたい」などの人生への絶望などの訴えが寄せられることがあります。こうした訴えたちから、社会不安の高まりを背景に不安や絶望、寂しさなどの辛さを打ち明けられる相手が身近にいない方たちが増えている可能性を感じます。
3.今後の取り組み
今後の取り組み
生命を守る砦がありつづけるために
無料診療、生活相談、炊き出し・アウトリーチなど、路上生活という過酷な生活環境に置かれた方たち、そして、新たに生活に困窮した方たちにとっての「生命を守る砦」となる活動を続けていきます。
孤立した人々にとって、つながりと居場所がありつづけるために
路上生活を送る方は、生活困窮に至る過程で、家族や友人など様々なつながりを失ってしまった方が少なくありません。また、私たちが活動を行う山谷地域のドヤ(簡易宿泊所)で暮らす方は、路上生活や生活困窮状態を経験した方が多く、社会的に孤立した状態にあります。
さらに、山谷地域のドヤで暮らす人々の高齢化が進んでいます。山谷地域のドヤ約150軒の3,800人近くの宿泊者のうち、7割近くは高齢者であり、9割近くが生活保護を受給している状況であり、「超高齢社会の縮図」ともいえる状況です。
路上生活から屋根のある生活に移ることができても、生活に困窮した状態から支援制度を利用し最低限の収入が保障されたとしても、社会から孤立した状態が変わるわけではありません。孤立した人々と出会い、つながりを育むことができる。自分の存在が認められ、役割と支え合いが生まれる居場所。こうした場が必要です。
山友会では、そのために食堂での昼食の提供、ドヤやアパートで暮らす関わりのある方たちの見守り(地域生活サポート)、居場所・生きがいづくりプロジェクト、山谷・アート・プロジェクトを行ってきました。活動縮小前は、毎日多くの人たちが山友会の事務所を訪れ、それぞれの喜怒哀楽を分かち合う日常がありました。
現在、山友会では、感染防止のために中止しているこれらの活動の感染対策を整備・強化し、再開に向けての準備を整えています。活動によっては従来の活動方法そのものを見直さなければならなくなるかもしれません。
新たなつながりのあり方、居場所のあり方も模索しつつ、多くの人たちに求められ、私たちの使命でもあった、つながりと居場所を感じられる場であることを取りもどさなければなりません。
4.あなたにできること
あなたにできること
寄付によるご支援
“生命を守る砦”がありつづけるために
孤立した人々にとって、“つながり”と“居場所”がありつづけるために
新型コロナウイルスの災難によって露わにされたもの
新型コロナウイルスの感染が拡大していく中で、多くの人たちが感染への恐れや医療にアクセスできない不安を感じたはずです。そして、親しい人たちと喜怒哀楽を分かち合い、不安や悩みを打ち明けられる関係が途絶えることの辛さを感じたはずです。
感染が収束傾向にあるとも言われる中で、多くの人々が新たな生活様式を模索しはじめています。しかし、今もなお、住まいがないことで医療制度や支援制度にアクセスできなくなってしまっている人がいます。そして、人とのつながりが希薄な中、あなたが感じた恐れや不安を誰とも分かち合えずに孤独を深めていく人がいるのです。
これは今に始まったことではありません。新型コロナウイルスの災難によって、社会の脆弱さが露わにされました。非正規労働の拡大、住まいの貧困、社会的孤立など感染拡大前からの問題が、感染拡大による影響によって貧困の拡大という形で警鐘を鳴らしているのです。
この困難を乗り越えるために。希望ある未来を描くために。
私たちはこの困難とどう向き合えばよいのでしょうか。
格差などの世の中の不都合から目を背けず、困難に置かれた人々の立場から社会のあり方を考えなければなりません。このことによって、仮に災害などの大きな困難に直面したときも、互いに助け合い、再び立ち上がることのできる希望ある未来を描いていくことができるのです。
そのためには、路上生活を送る人をはじめ苦難にある方たちに思いを寄せることが必要です。
そして、孤立せず安心できる暮らしを歩んでいけるよう支えていくことが必要です。
この困難を乗り越えるためには、皆さまの力が必要なのです。
5.新型コロナウイルスの災難によって露わにされたもの
6.この困難を乗り越えるために。希望ある未来を描くために
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